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  • ショウ先生

中国人人事が教える日本のビジネスマナー:「日本人の『すみません』」

時々、ある日のことを思い出します。まだ留学生のときのことでした。


 当時、金曜日の授業が終わって、すぐアルバイトに行かなればなりませんでした。授業とバイトの間はあまり時間が空いていませんでした。ある日、授業が少し長引いてしまい、急いで自電車をこいでいったら、今度赤信号ばかりでした。結局、ほんの何分間ぐらい遅れて出勤しました。授業が長引いたことも、運が悪くて赤信号に遭遇したことも、自分がコントロールできないことです。だから、自分が悪いと思いませんでした。その日、怒られましたが、「すみません」を言わなかったと記憶しています。

 

 中国人は「すみません」を言えないとよく言われます。それは、自分のメンツを守るため、自分の非を認めたくないからです。

 

 中国はメンツを重んじるこくで、メンツを意識して、生活しています。「すみません」を言う、謝罪するというのは、プライドが傷つく行為です。非を認めると、謝らなければなりません。そうすると、メンツが守れなくなります。ビジネスの場面でも、そのような傾向があります。謝ることは自分の非を認めることになり、メンツだけではなく、仕事の場合、すべての責任が謝ったほうにあると思われます。日本で長く働き、いくつかの会社で仕事していくうちに、当時自分のように「すみません」を言わない、言えない中国人と何人も出会いました。

また、中国人は、身内であれば、「ありがとう」でも「すみません」でもあまり言いません。身内で御礼や謝罪をするのは、よそよそしいという考えを持っているからです。

だから、私たちは、簡単にすみませんという言葉を口に出さないだろうと思います。


対照的に、日本は謝罪の文化と言われています。人にいやな思いをさせたり、迷惑をかけたと思うときには、謝罪の言葉を口にします。

 私は老舗温泉旅館を運営している会社で働いたことがあります。自分に非があるかどうかにかかわらず、日本人社員は、よくお客さまに対して「申し訳ございません」を言っています。これは、人は誰でも間違いをする、次は自分が迷惑をかけるかもしれないという「お互い様」という考えにもとづいています。社員同士でもよく謝ります。特に中国人の皆さんに注意してほしいのは、日本人がよく口にする「すみません」には、感謝、声掛け、依頼、気づかいなどの意味があります。

だから、「すみません」はコミュニケーションをよくするための便利な言葉です。日本人は「謝罪」と「賠償・責任を負うこと」を別のものと考えています。謝罪についての考え方は外国と根本的に違います。

 

日本で働くときは、中国人のメンツに関する考え方を変えたほうがいいです。謝るのは、コミュニケーションをスムーズにすすめるためです。謝ったとしても、責任を問われ、賠償をしなければならないことはありません。仕事の中でも、生活の中でも、何かありましたら、まず「すみません」(お客さまには、「申し訳ございません」)を言うことを覚えておきましょう。そして、自分の主観的な原因でなくても、どんな原因であっても、相手に待たせたり、不便をかけたりすることがあれば、謝ります。それはご迷惑をかけるという日本語の意味です。


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この記事を書いた人


ショウ先生

思高就職塾 講師

中国上海市出身


上海の大学の日本語学科を卒業後、大学院進学のため2010年に来日。

大学院卒業後は日系企業3社で7年以上に渡り人事領域(採用・研修等)の業務に従事。

日本での長年の社会人経験と現役人事の視点から、中国人の就活生、若手社会人向けに役立つ情報をブログ記事で発信中。

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